朝焼けを浴びながら
「朝焼けを浴びながら」にようこそおいでくださいました。 ここはカードワースのリプレイを中心に、私が徒然なるままに書き連ねていくブログです。 では、お楽しみください。
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PC5:トルド

「ほう、行くか・・・。」
 老ドワーフは言った。その眼差しは名剣のごとく鋭く、その肉体は鋼色に鈍く光っている。
「はい、この街だけでは学べぬこともあると思いますので。」
 一方の若いドワーフは、おろしたての剣にも似た若いきらめきを目に宿している。
「冒険をすれば、魔剣、聖剣、名剣の類や、まだ見ぬ鉱石、珍しい武器も見つかると思います。この大戦槌が助けになるでしょうし。」
 そう、若いドワーフは続けた。
「ふ、昔から研究熱心なやつよの。行くがいい、このアウグストにもない鉱石を、鍛冶技術を知るがいい。だが気をつけよ、トルド。人間の中には、我ら異種族を疎ましく思うものも多いでな。」
 老ドワーフはそう、諭した。
「心得ました、師匠。必ず新しい技術を、鉱石を見つけて参ります。」
 そう言って、熱気立ち上る鍛冶場から、霊峰よりの清冽な朝風吹き降りるアウグストへと踏み出した。

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PC4:リーザ

「そうですか、行くことに決めたのですね・・・。」
 僧服の壮年男性は、いとおしげに女を見た。
「もう決めましたわ、神父様。」
 決然と彼女は言った。
「ご両親はお嘆きになりますよ。」
 神父はそう、諌めた。
「わたくしは、神に身を捧げたのですわ。貴族の理に従う気はありません。それに、修道院にいたのではできない修行も出来ますし、偏見に苦しむ異種族の方の手助けも出来るかもしれませんから。」
 そう、微笑んだ。
「とめても無駄のようですね、リーザ。冒険者とは時に残酷な決断を下さねばならないもの、それを良く覚えておきなさい。あなたは優しい子ですが、それだけでは解決しないこともあるのですから。」
 真剣な目で、そう、諭した。
「はい、ありがとうございます、神父様。肝に銘じますわ。
 それでは、神のご加護の在らんことを。」
 十字を切って、祈り、リーザは歩き出した。霊峰アウグスツベルクの麓、「霊峰への階段」アウグスト。その峰からはまさに太陽が昇り始めたところだった。
「あなたに神のご加護のあらんことを。」
 神父はその背中に、十字を切った。

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PC3:オリガ

「・・・行ってしまうんだねぇ・・・。」
 物憂げに目を伏せて、老女は息を吐き出した。
「ええ、行くわ。」
 答えるのは、女。街で見ても特に気に留めることもないだろう、いたって平々凡々な女だ。
「リーダーが、帰ってきたのだもの。まぁ、いくら街ごと焼かれようが、リーダーはしぶといから生きていると思っていたけどね。」
 楽しげに笑って、女は言った。
「そんなにその男は魅力的かい?街での御勤め(註:盗みのこと)をやめるくらいなのかぇ?」
 ねめつけるように、老女は女を見た。その瞳には、悲しさと共に、わずかな怒りが見て取れた。
「ええ、魅力的だわ。」
 そう、女は微笑む。その言葉に老女は手を震わせた。口をあけようとした老女を制するように、女は言う。
「あの男だけじゃなく、そいつが引き連れている、”冒険”がね。このけっして警戒されない顔と雰囲気で、近づいてすりをするのも、暗殺をするのも、スリルに満ちているけど、それだけじゃ足りないのよ。リーダーは、いいきっかけをくれたわ。」
 そう、瞳を嬉しげに輝かせた。
 老女は再び溜め息を吐いた。
「やれやれ、あんたのスリル好きは変わらないねぇ。いつか身を滅ぼすだろうよ。」
「あら、予言?」
 女は楽しげに答えた。
「違うよ、長いこと生きてきたこのばばの忠告さ。死地へ飛び込む若者へのね、オリガや。」
「忠告、ありがたく受け取っておくわ、親愛なるわが師匠。」
 手を胸の前に当てて、女は大袈裟に一礼した。
 そして、暁闇のリューンへと歩き出した。  


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PC2:アロイス

「やはり、行くのですか?」
 壁にもたれ、腕を組んだ男は言った。服のボタンはきっちりと上まで閉じられ、髪はしっかりと後ろに撫で付けられている。
「ああ、もうここに未練はないからな」
 ヴァレリーと呼ばれた男は言った。男とは対称的に、ボタンは緩められ、髪は無造作に立っている。
「いくら愚かしいとはいえ、上司に会うのにその格好は如何なものでしょうね、まったく」
 溜め息をついて男は言う。
「それで、今後の身の振り方はどうするんです?ヴァレリー?」
 そう、続けた。
「やれやれ、相変わらず頭が固いな、お前は。多少だらしなくても冒険者になる俺には関係ないさ。」
 そう、肩をすくめた。
「冒険者だろうが、依頼人への印象は大事ですよ。やはりあなたには補佐が必要なようですね。お願いしますよ、リーダー。」
 微笑んで男は言う。
「いいのか?お前なら他に堅い働き口はあるぜ。」
 にやりと笑ってヴァレリーは言った。
「私の作戦をこなせる人はあなた位ですから。」
 やはりにやりと笑って男は言う。
「やれやれ、物好きめ。じゃぁ行こうか、アロイス参謀殿。」 
 そう言って、朝焼けに染まるリューン市街へと踏み出した。
「ええ、行きましょう。リーダー殿。」 
 そう言ってアロイスは従ったのだった。

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PC1:ヴァレリー
「どうしても、行くのか?」
鼻の前で手を組み、低い声で髭をたたえた男は言った。
「はい、もうここにいる気はありません。」
そう、若者は答えた。手は堅く握られ、白くなり震えている。
「戦友が死んだ!死んだんだ!敵の手にかかったならまだ納得できる!だが、頭角を現しただけの新部隊を、愚かにも妬んだ上官の手にかかって死んだんだ!もう、こんな傭兵団にいたいと思うか!」
血走った目で、そう低く叫んだ。
「そう・・・だな。隊長として、部下の暴走を止められなかった非礼は詫びる。すまなかった。だが、私は君と君の参謀を買っている。隊に残ってはくれないか。」
男は立って、頭を下げる。
「断ります。もう、ここにいる気は、ありません。」
若者はそう言って、踵を返した。
「どうやって生きていくんだ?ヴァレリー。」
男は若者の背中にそう、ぶつけた。
「冒険者にでもなるさ。」
そう言って、若者は朝焼けの訪れるリューンへと足を踏み出した。


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